第20 回 北海道警 田中 千明さん


「自分の命を守れない人に他人の命は守れない」


yumetan_s

みなさん、こんにちは。 今日の夢探メッセージに登場していただくのは、女性白バイ隊「ノースウィングス」の田中千明さんです。警察に来てちょっと緊張気味ですが、いろいろ聞いてみようと思います。 それでは田中さん、よろしくお願いいたします。

yumetan_s
はじめに田中さんのお仕事の内容を教えてください。

  北海道は全国でも交通事故が多いところです。私の仕事は交通事故を1件でも減らすためにスピード違反や信号無視などの交通違反の取り締りや安全運転講習会を行ったりしています。他にも交通安全の意識を高めるための広報活動として様々なイベントや行事にも対応しています。また、毎年10月に全国白バイ安全運転競技大会という白バイの運転技術を競う大会があるのですが、それに向けた訓練も行っています。イベント会場で小さな子どもたちから「僕も白バイ隊員になりたい!」って言われるととっても嬉しくなります。
hr

yumetan_l
田中さんは子どものころから白バイの隊員になりたと思っていたのですか?

 いいえ、実は警察官にもなりたいと思ってはいなかったのです。私は進学校と言われる高校に通っていたのですが、高校卒業後の進路を決めるときに「早く働きたいなぁ」って思ったんです。
hr

yumetan_l
どうして早く働きたいと思ったのですか?

目標にむかってみんなで力を合わせて頑張ることが好きなんです。高校のときにバレーボール部に所属していたのですが、勉強より部活動に夢中だったんです。そのまま大学に進学しても、きっと独りで頑張る勉強より、他の活動やアルバイトの方を頑張っちゃうじゃないかなぁ...と(笑)。それだったら早く社会に出た方が良いと考えたんです。
hr

yumetan_s
そうなんですか。では、どんなきっかけで警察官という仕事にめぐり合ったのですか?

高校が普通科だったこともあり、就職先が少なかったのですが、担任の先生から公務員なら受験できると聞き、やりがいがありそうだと思って受験しました。
hr

yumetan_s
担任の先生の一言が決め手だったのですね。 警察官になって驚いたことはありますか?

高校を卒業して警察官になると初任科生として警察学校に10ヶ月間入校し、寮に入って法律の勉強や逮捕術の訓練をしなければならなかったことに一番びっくりしました。
hr

yumetan_s
10ヶ月も勉強できるのですね

はい。女性白バイ隊の「ノースウィングス」の存在を初めて知ったのもそのときなんですよ。交通の授業のときに女性白バイ隊員の方々が来てくれたのです。私よりも体の小さい女性があんなに大きなバイクに乗っている姿を見て憧れて「私も白バイに乗りたい!」って思ったんです。その後バイクに乗るために大型自動二輪の免許を取得しました。
hr

yumetan_l
えっ!?警察官になってからバイクの免許をとったんですか?それじゃ、免許を持っていなくても 白バイ隊の隊員を希望することができるのですね。

 はい、そうです。男性警察官の中には白バイに乗りたくて、警察官になる前にバイクの免許を取る人も多いようですが、私は警察官になってから免許を取りました。その後、交通課で仕事に励みながら白バイ隊を希望し、晴れて隊員になることができました。
hr

yumetan_s
この仕事のどんなところに魅力や楽しさを感じていますか?

 隊員になって3年目になりますが、私の好きなバイク、しかも以前は憧れの存在であった白バイに乗ることができるということは、本当に素晴らしく、誇りに思います。白バイの機動力を生かした私たちの活動によって、悲惨な交通事故の被害者を一人でも多く減らすことが目標です。
hr

yumetan_l
つらいことや苦しいこともあるんですよね。

  白バイの訓練はとても厳しくて苦しいこともあります。でも早く一人前の白バイ隊員になりたいと思って毎日の訓練に取り組んでいます。
hr

yumetan_s
白バイに乗るって危険な仕事ですよね。ご両親は心配していませんか?

両親は私が白バイに乗っていることを喜んでくれていますよ。自動車運転試験場(※札幌市手稲区)で白バイの訓練をすることがあるのですが、両親が訓練を見に来てくれることもあるんですよ。
hr

yumetan_s
ご両親も応援してくれているんですね。 女性の白バイ隊員として苦労することってありますか?

300kg以上のオートバイを取り扱うので、体格的にも男性に比べて大変ですね。また、交通違反をした男性ドライバーの中には、私が女性だからなのか、お話をちゃんと聞く態度にならない方もいます。でも私は男性に負けないように頑張ろうというのではなく、女性だからこそ出来ることを一生懸命に取り組んでいきたいと心がけています。交通安全の広報活動やイベントの場面などは、女性だからこそ柔らかく接することができ、小さいお子さんをはじめ多くの年代の方にもお話を聞いていただけるのだと思っています。
hr

yumetan_s
子ども達に伝えたいことはありますか?

「自分の命を守れない人に他人の命は守れない」。これは私が白バイ隊員になったばかりのころに先輩に言われた言葉です。だから厳しい訓練をして、運転技術を身につけなければならないのだと教えられました。自分のバイクの運転もちゃんと出来ない人が交通安全を訴えても何の説得力もないということです。これはどんな職業についたとしても同じことだと思います。 そしてどんな仕事であっても楽しいことばかりではなく、つらいこと苦しいことが必ずあるはずです。そんなつらい時、苦しい時に自分自身の未来の理想像をしっかり持ち、それに近づくために、いま頑張らなければと強く思うことができたら、絶対に乗り越えられると私は信じています。 まだまだ一人前ではありませんが、これからも「自分の命を守れない人に他人の命は守れない」という言葉を信じて、どんなことがあっても乗り越えていけるように頑張ります。 みなさんも焦らずに、そう思える仕事を探してみたらいいと思います。
hr

yumetan_l
最後に、警察官を目指す子ども達にアドバイスをお願いします。

当たり前のことですが、困っている人がいたら助けてあげたい。悪い人は許せない。そんなふうに思うことができる心が必要です。そして、警察官採用試験に合格すること。 警察官として必要な法律などの勉強は、初任科生として警察学校に入校してからするので大丈夫です。
hr

yumetan_l
今日はお忙しいところありがとうございました。

【編集後記】
インタビュー会場となった交通機動隊の隊長室には、殉職された交通機動隊の方々の写真が飾ってありました。「交通事故の犠牲者を一人でも減らしたい」とお話してくれた田中さんの仕事はまさに命がけの仕事です。「高速道路で走行中、路肩に停車している車を見つけ(猛スピードで走る車の中で)減速した時は怖かった」と正直にお話してくれました。小さいころは「明るく元気で、よく遊んでよく食べて、よく寝る子どもでした。兄の影響で、男の子ばかりの少年野球チームに入部したり、体格も良かったので、よく、男の子と間違えられました」と語る田中さんは、インタビュー中や写真撮影でも取材スタッフのリクエストにずっと笑顔で対応してくれました。そして白バイにまたがる姿はとってもカッコが良く、すっかり田中さんファンになってしまいました。取材の最後に知ったのですが。北海道では女性の白バイ隊員は現在(平成19年7月取材時)4名しかいないそうです。「運よく白バイ隊員になれた」という田中さんですが、その努力は相当なものだったに違いありません。このインタビューを通して田中さんと接することができ、あらためて「交通違反は絶対しない」と心から誓った私なのでした。(りきたん)


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